[001] CD-Rの劣悪環境下に於ける保存実験
正常に焼けたCD-Rを、意図的に劣悪な環境に保存、その状態を調べました。デジタル情報は劣化しませんが、それを保存するメディアは劣化します。
CD-Rの保存性
最近ではすっかり普及したCD-R。
FDを圧倒する大容量、ZIP/MOに比べて低価格、という利点があり、パソコン本体を購入した時から、標準でドライブが搭載されていることも珍しくありません。
CD-Rの取扱いに注意する必要があるというのは、皆様ご存知でしょう。
CD-Rの外装には、以下のような注意書きがあります。
・信号面に指紋、汚れ、傷、ほこり、水滴がつかないようにお取り扱いください。
・付着したほこり、汚れ等は柔らかい乾いた布か、市販のCDクリーナーまたはエチルアルコールで軽くふき取ってください。
・ベンジン、シンナー、静電防止剤、LPクリーナーは使用しないで下さい。
・直射日光が当たる場所や、高温、多湿の場所には放置しないで下さい。
・粘着性のあるシールはディスクに貼り付けないで下さい。
1番目の信号面を汚さないのは当然ですが、2番目の直射日光、多湿はどうなのでしょうか。
実際に、CD-Rを直射日光にさらしてしまうことがあると思います。
そこで、記録済みのCD-Rを直射日光下に置き、データが読取れるかどうかを確かめました。
実験方法
1.CD-R(650MB/74min 色素:シアニン)にCD-DAフォーマットで音楽を記録する。
(つまり音楽CDの作成)
2.付属のスリムケース(透明)に入れ、周囲をセロハンテープで閉じる。
3.直射日光の当たる屋外に、信号面を外に向け、約1ヶ月間放置する。
4.CD-Rを取り出し、DATAが読めるか(再生できるか)確かめる。
結果写真
放置後、回収したCD-R。見た目にも、すでに剥離が発生しているのが分かる。
CD-Rの内周部分が剥離している。
内周部分から湿気が入り、剥離が進行。
侵食は内周部分からだけで、外周からはない。
信号面。
表面の剥離が進み「もやもや」しているのが分かる。
こうなってはデータは読み取れない。
剥離だけでなく、湿気が閉じ込められているのが見える(画面中央付近)。
剥離は広範囲に進み、CD-Rを軽く曲げると表面が浮き上がる。
表面が剥がれ落ちる。こうなっては修復不可能。
結果
剥離が起こり、このCD-Rは認識できませんでした(当然)。
これと平行して、もう1枚(色素:フタロシアニン)の「屋内」実験を行ったところ、
剥離はないものの、こちらも読取れなくなりました。
CD-Rを透かして見ると、以前よりも色が薄くなっており、
日光で色素が飛んだものと思われます。
まとめ
光と湿気はCD-Rに悪影響を与えます。
昔はCDを大切に扱ったものですが、雑誌付録やCD-Rの登場により、周囲に溢れ、重要なものという認識がなくなってしまいました。
それゆえ雑に扱ってしまうこともありますが、取り扱いには十分気を付けるべきです。
普通、屋外に保存することはないでしょうが、室内であっても、日の当たる所に置くのは危険です。
CDのプラスティックケースは薄型になっていますが、その大半は透明なものです。
これはホコリを避けることはできますが、光に対しては無力です。
プラスティックケースに入れる時は有色なものを、入れない時はCD-ROM収納ケースに入れるなどして、
ホコリだけでなく光も遮断しましょう。
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更新履歴
- 2002.03 公開
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