[027] PowerMaxでのMaxtor製HDD診断方法(FD版)
PowerMaxで、Maxtor製HDDの診断、物理フォーマットができます。起動フロッピーを作成して実行します。ツールは英語ですが、その使い方を日本語と写真で解説します。
バージョン情報
最新版はv4.21です(2005年02月時点)。
以下はv4.06のものです。
旧バージョン(v3.04)をお使いの方はPowermax(v3.04)を参照してください。
但し、旧バージョンのサポートは打ち切られていますので、おすすめしません。
PowerMax とは?
PowerMaxはMaxtorから出ているHDD診断ツールです。
フロッピーを作成して実行します。
診断や物理フォーマット(ローレベルフォーマット)が可能です。
対象はMaxtor及びQuantumのHDDであり、
500MB以上のATA(IDE)HDDに対して使用可能です。
FD(フロッピーディスク)さえ作ってしまえば、そこから起動しますのでOSは関係ありませんが、
FDを作成するための環境は
Windows NT, Windows XP Home Edition, Windows 2000
Windows Me, Windows 98, Windows 95B, OS/2
となっています。
お使いのパソコンにFDD(フロッピーディスクドライブ)がない場合は、
フロッピー起動ツールをCD-ROMから実行する
を参照してください。
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2001年4月にQuantumはMaxtorに買収されました。
Maxtor、Quantumの買収を完了
Maxtorは2001年4月2日(現地時間)、QuantumのHDD部門の買収完了を発表した。
両社は2000年10月に合併することに合意していた。
今回の合併によりQuantum HDD部門の株主は1株あたりMaxtorの株式1.52株を受け取る。
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下記のようなHDDの潜在的な問題の解決に有効です。
・HDD表面の潜在的な問題
(不良クラスタ/セクタ、パーティーション及びフォーマットの問題)
・HDDの認識の問題(BIOSからは認識されるがOSから認識されない等)
(BIOSから認識されない場合は、当然診断もできません)
その手段として、下記の機能を有しています。
・Basic Quick (90 Second) Test – 簡易診断
・Advanced Test (Full Scan Test) – 詳細診断
・Burn In Test – 診断の繰り返し
・Low Level Format (Full) – 全領域を物理フォーマット(ローレベルフォーマット)
・Low Level Format (Quick) – 一部領域を物理フォーマット(ローレベルフォーマット)
注意事項
PowerMax(v4.06)はNVIDIAのチップセット採用のマザーボードに接続したUltraATAのHDDは認識できません。
(シリアルATAは認識可能)
この問題を解決すべく、現在Maxtorは新バージョンを開発中です。
よって定期的にPowerMaxのダウンロードページをチェックしておく必要があります。
Promise、CMD、Highpoint Ultra Controllersを採用したカード(オンボード含)に
接続したHDDは認識できます。ですがこれ以外の新しいチップを使ったカード、
新しいシリアルコントローラ(シリアルATA)、RAIDコントローラ、
Highpoint Ultra 133 Controllers上のHDDは認識できないことがあります。
v4.06以前のPowerMaxは現在サポートされておりませんので、
必ずv4.06を使用してください。
ツールの入手
HDDベンダ提供 HDD関連ツール(ソフト)をご覧いただき、Maxtorのサイトから「powermax.exe」をダウンロードします。
ツールのインストール
起動ディスクを作成しそこから実行しますので、FDが1枚必要です。
トラブルを防ぐために予めフォーマット(クイックフォーマットではない)しておいて下さい。
フォーマットの方法はMemtest86でメモリチェックを行うを参照してください。
お使いのパソコンにFDD(フロッピーディスクドライブ)がない場合は、
フロッピー起動ツールをCD-ROMから実行する
を参照してください。
入手した「powermax.exe」をダブルクリックすると下記の画面となります。
「Continue」をクリックします。
契約に同意するのであれば「Yes」をクリックしてください。
FDにあるデータは消去されるため、警告が出ます。
よければ「Start」をクリックしてください。
再度警告が出ますので、よければ「OK」をクリックしてください。
作成が始まりますので待ちます。
FDの作成が完了したらこの画面が出ます。
画面のようにラベルを貼っておくと良いでしょう。
FDにインストールされたファイルは上の通りですが、
Powermaxの実行後に「DRVINF.TXT」というログファイルが増えます。
よってFDは書き込み可(ツメは動かさない状態)にしておいてください。
書き込み不可にしますと、ログファイルが書き込めないため
各種診断の実行後に止まってしまいます。
ツールの実行
作成したFDから起動します。
FDから起動するには、予めBIOSで設定しておく必要があります。
起動ディスクとなっているので、Powermaxが起動します。
青い「Maxtorロゴ」が表示されます。
この画面が出ますので、実行するには「F8」を押します。
画面が出ますので、もう一度「F8」を押します。
デバイスがスキャンされます。
数分掛かることもありますので待ちましょう。
スキャン結果がこのように表示されます。
目的のHDDが表示されているか確認してください。
なお、上記ではPromiseのUltra66カードを増設していますが、
写真のように認識されています。
ここで目的のHDDを選択して「Enterキー」を押します。
実行できるテストの一覧が出ます。
内容は以下の通りです。
Installation Confirmation
Basic Quick (90 Second) Test
Advanced Test (Full Scan Test)
Burn In Test
Low Level Format (Full)
Low Level Format (Quick)
Select Another Drive
Contact Maxtor
つまり「HDDを選択」→「テストを選択」の順で進めるわけです。
では、個別に見ていきましょう。
・Installation Confirmation
HDDが正しく接続されているかを確認するものです。
念のため、下記の診断の前に行っておきましょう。
・Basic Quick (90 Second) Test – 簡易診断
短時間での診断を行います。
問題が見付からなくても、念のために次のAdvanced Testを行いましょう。
診断を開始すると、左側に診断項目が出ます。
右側でHDDの詳細情報(型式、Firmware、シリアル等)を知ることができます。
通過すると「Passed」と表示されます。
ここで全部「Passed」となれば良いのですが、
写真のように「Failed」となることもあります。
「Advanced Test」で詳細なチェックを行いましょう。
テスト結果は「PASSED」となりましたが、簡易診断ですので確実ではありません。
ここで問題がなかったとしても、次の「Advanced Test」を行うことをおすすめします。
・Advanced Test (Full Scan Test) – 詳細診断
詳細な診断を行います。
但し、非常に長い時間を要しますので注意してください。
診断を開始します。
画面は「Basic Quick Test」の時と同じです。
左側に診断項目が出ます。
右側にはHDDの情報と、診断中を示す「IN TEST」の表示があります。
問題がなければ、このように「PASSED」の表示が出ます。
・Burn In Test
セクターの読み取りを連続して行います。
最短で1回、最長で60回の指定ができます。
短時間では問題が生じないが、長時間使っていると問題が発生する場合などに実行して下さい。
・Low Level Format(Full) – 全領域物理フォーマット
全領域に渡ってゼロパターンで上書きします。
物理フォーマット(LowLevelFormat,ローレベルフォーマット)です。
当然、データは消去されますので、注意してください。
Basic Quick TestまたはAdvanced Testで問題が発見された時に
これで全域に渡って物理フォーマットしてみると修復できることがあります。
HDDの容量が大きい場合は、相当な時間(数時間)を要しますのでご注意ください。
データは消去されます。
実行するのであれば「Yes」を選んで「Enterキー」を押してください。
誤って実行しないよう、もう一度聞いてきます。
実行するのであれば「Yes」を選んで「Enterキー」を押してください。
物理フォーマットを開始しました。
LBAが増えていきます。
これが画面右の「MAXIMUM LBA」に達すれば完了です。
・Low Level Format(Quick) – 一部領域物理フォーマット
最初の300MBと最後の100MBをゼロパターンで上書きします。
当然、データは消去されますので、注意してください。
Low Level Format(Full)と比べて対象領域が狭いので、時間を要しません。
上書きしていない中間の部分に関しては何もしませんので、その部分にエラーがある場合は解消できません。
よってBasic Quick TestやAdvanced Testで問題が見付からなかった時に限定し、
ウイルスによってブートセクターが破壊された場合などに行います。
・Select Another Drive – 他のデバイスを選択
現在のHDD選択を解除し、他のHDDを選択する場合に実行します。
・Contact Maxtor – Maxtorへ連絡
Maxtorへの連絡先を表示します。
トラブル
作成したFDから起動できない、起動の途中で止まってしまう、という問題が報告されています。
まず、BIOSの設定でFDから起動できるようになっているかを確認しましょう。
多くの場合、起動元として「CD-ROM、FDD、HDD、SCSI」等があるはずです。
この最優先をFDDにします。
例:(先)FDD>CD-ROM>HDD>SCSI(後)
次に、FDが確実に作成されているかを確認します。
Powermaxを入れる前に、FDをフォーマットしておく必要がありますが、
クイックフォーマットは避けるべきです。
フォーマットの方法はMemtest86でメモリチェックを行うを参照してください。
そして、Powermaxのファイルが確実にダウンロードされているか確認します。
ファイルが破損している可能性があるからです。
そして、FDDの作成後、書き込み可にしておきましょう。
> DOS起動時に、POWERMAXが止まり、訳のわからない文字が出て止まりました。
> 散々悩んだ末、ビデオカードをはずして、内蔵グラフィックにしたら正常に起動しました。
> ビデオカード;RADEON7600 > マザー:815E
> (掲示板への書込みから)
また、起動はするが、HDDが認識できないこともあります。
> PowerMax v 4.09 will not detect ATA or SATA hard disks
> connected to embedded or add in RAID controllers,
> NVIDIA Force 3, or Force 4 chipsets.
PowerMax v4.09は、オンボードまたは増設カード上ののRAIDコントローラーや、
NVIDIA Force 3 や Force 4 のchipset上のHDDは認識できない。
> If the hard disk is connected to an unsupported controller,
> it will have to be moved to an alternate system,
> or controller for diagnosis.
これらのサポートされていないコントローラーにHDDがつながれている場合、
認識できないので、他のシステム(パソコン)やコントローラー上につないで実行する。
上記の対策をしても解決しない場合は、いろいろ悩むより、他のパソコンで試した方が早いでしょう。
(もちろん、他のパソコンがある場合ですが)
PowermaxはOSに関係はありませんので、どのパソコンで実行しても同じことです。
AMSETは?
v3.04では静音化ツールであるAMSETが同梱されていましたが、v4.06では別となっています。
詳細はHDDの静音化 AMSETを参照してください。
関連記事
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- フロッピー起動ツールをCD-ROMから実行する
更新履歴
- 2002/06 v3.04に付いて作成
- 2002/09 関連事項追加
- 2002/10 PowerMaxリンク修正
- 2002/10 Installation Confirmation追記
- 2002/10 AMSET追記
- 2003/01 LLF追記
- 2003/12 F8追記
- 2004/02 v4.06に付いて作成
- 2004/04 トラブルについて追加
- 2005/02 FDDがない場合について追加