[033] 物理フォーマットの実行 初期化 ローレベルフォーマット

2015年5月22日

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ハードディスク(HDD,HD)の物理フォーマット(ローレベルフォーマット,Low Level Format)は初期化、低レベルフォーマットともいわれ、HDDの修復/復活には欠かせない手段です。

はじめに

現在普及しているパソコン用ハードディスクは、
配布されているツールでは(厳密な意味での)物理フォーマットはできません。

配布されているツールで可能なのは、便宜上、
Low Level Format(ローレベルフォーマット)と呼ばれるもので、
これは(厳密な意味での)物理フォーマットではありません。

以下はそれを把握した上でお読みください。

ハードディスク(HDD)の物理フォーマットとは?

物理フォーマット(ローレベルフォーマット、Low Level Format)は、
「低レベルフォーマット」「初期化(※)」とも言われ、
ハードディスク(HDD)のセクタ(最小の記録単位)を配置しなおすことである。

無地の紙(ディスク)があり、そこに文字(データ)を書いていくとすると、
物理フォーマットはそこに罫線を引くような作業といえる。

ただ、それだけでは文字(書き込んだデータ)を探すのが大変なので、
紙に目次とページを付けて、書き込んだデータを探しやすい状態にする必要がある。
それが「論理フォーマット」である。

よってハードディスク(HDD)を使うには、物理フォーマットだけでなく、
論理フォーマットを行う必要がある。
物理フォーマットの上に論理フォーマットが成り立っているからだ。

Windows上での「FDISK(Win95や98、Me)」や「ディスクの管理(NT系)」が
論理フォーマットに相当し、OSで形式が異なるが、物理フォーマットはOSによらない。

メーカー製パソコンに内蔵され、購入時からOSが入っているもの、
バルクなどで販売されているものは、既に物理フォーマットが行われており、
改めてする必要はない。

物理フォーマット、論理フォーマットとも、それを行うことでデータは消えてしまう。

初期化の示すもの

「初期化」の意味するものは明確に決まっておらず、
物理フォーマット(ローレベルフォーマット、Low Level Format)を指す場合もあれば、
論理フォーマット(FDISKやディスクの管理でのフォーマット)を指す場合もある。

「初期化」の文字通り「初期の状態に戻すこと」と捉えれば、
その対象がハードディスク(HDD)の場合、全データの消去を指すことになる。

単純に以前のデータを消したいという場合は、論理フォーマットで構わないが、
ハードディスク(HDD)の障害を修復したい時は物理フォーマットが必要になる。

「パソコンの初期化」や「Windowsの初期化」という人もいる。
ただこの場合は、データ消去ではなく、OSが入った、
つまり買ってきた時の状態に戻す(リカバリ状態)ことを指す場合もあるだろう。

なぜ、物理フォーマットするのか?

ハードディスク(HDD)は非常に精密なパーツであることは、
ハードディスクの知識(エラー/故障等)で記した通りである。
振動や熱に弱く、使用に伴い劣化していくものであり、確実に「消耗品」である。
よって、何らかの原因でセクタの配置が崩れることがある。
紙の例でいうと、罫線が崩れて文字を書き込めなくなった状態だ。

こうなってしまうと、論理フォーマットができなくなる。
物理フォーマットの上に論理フォーマットが成り立っているからだ。

Windows上のハードディスク(HDD)操作(Fdiskやディスクの管理)の際に
異常に時間が掛かる、特定の箇所で止まってしまい進まない、
フリーズしてしまうことがあるのは、そのためである。

よって、一見壊れたように見えるハードディスク(HDD)でも、
罫線を引きなおす(物理フォーマット)することで修復できる可能性がある。

だが、ここでひとつ注意しなければならないことがある。

物理フォーマットするとデータは消える

先述したように、ハードディスク(HDD)を物理フォーマットすることで
ハードディスク(HDD)を修復できる場合があるが、
これはハードディスク(HDD)内のデータを復元(復旧/修復)することとは全く別である。

ハードディスク(HDD)に不具合が発生したので修復したいが、中のデータは必要である、
その時に、決して物理フォーマットを行ってはならない。

ハードディスクの物理フォーマットにより、罫線を引き直すが、
書かれた文字(データ)も同時に消してしまうからである。
ハードディスク(HDD)は修復できたが、同時にデータを失ったのでは意味がない。

よって、物理フォーマットは、中のデータを他のメディアに退避させたか、
若しくはデータが不要(消しても良い)と判断した時のみに行う。

単に、ファイルをゴミ箱に入れるなどの操作ミスでファイルを失ったような場合は、
ファイナルデータなどのファイル復元ソフト
復元できることがあるので、試すと良いだろう。

ファイル復元ソフトは、ハードディスク(HDD)に対してだけでなく、
SDカードやコンパクトフラッシュに対しても有効であるから、
これらを記録媒体とするデジカメの写真を復旧することも可能だ。
いざという時のためにソフトを手元に常備しておくと、
問題が発生した時に慌(あわ)てずに済む。

ハードディスク(HDD)内のデータが必要であるが、BIOSで認識できないなどの障害が発生しているために
ファイル復元ソフトでも手の打ちようがない時は、
障害を受けたハードディスク(HDD)からデータを復旧を行うデータリカバリー業者に依頼することになる。

これらの業者は、物理的に障害を受けたハードディスク(HDD)からもデータを救出を試みる。
ハードディスク(HDD)がBIOSで認識しない、通電しない、回転しない、等である。

物理フォーマットに必要なものは?

まず、必要に応じてデータは退避させておくこと。

また、操作ミスによる事故を避けるため、
物理フォーマット対象でないハードディスク(HDD)は取り外しておくと良いだろう。

先述のように、論理フォーマットはOS上から可能だが、
物理フォーマットはOS上からはできない。

そこで、ハードディスク(HDD)メーカーが提供している物理フォーマットツールで行う。

ハードディスクベンダ提供 HDD関連ツール(ソフト)

では、物理フォーマットツールの無い(or見付からない)ハードディスク(HDD)はどうするか?
その場合はMaxtorのハードディスクツールであるPowerMaxで行うと良い。

これは、接続されたハードディスク(HDD)のメーカーで蹴らないので、
Maxtor以外のハードディスク(HDD)に対しても、物理フォーマットを行うことができる。

v4.06で確認しているが、実行は自己責任で。

物理フォーマット後

物理フォーマット後に論理フォーマット等を行い、
ファイルが正常に読み書きできるかを確認する。

しかし、それで問題がないからといって安心するのは危険だ。
なぜなら、障害が発生した原因が特定できていないからだ。

ヘッドや軸の劣化といった原因の場合、
使い出してから再びセクタ配置が壊れることも十分あり得る。

直った、修復できたと喜んで使っていたら、ある日異音が生じ完全に壊れ、
貴重なデータを失ったとなれば悔やみきれない。

よって、一度でも不穏になったハードディスク(HDD)は使用を控えるか、
使うにしても一時ファイル専用などとするべきであるが、
どうしても使わないとならない場合は、診断ツールで十分にチェックの後、
数日間運用して安全を確かめるべきであろう。

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