[014] 昔の高級デジカメ VS おもちゃデジカメ [QV-100,LV-10,QV-2300UX]

2015年5月23日

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2000年、1万円を切る低価格デジカメ(おもちゃデジカメ)が多数登場。それと1996年に発売された人気デジカメであるQV-100(QV-10の後継)と対決させました。さて、63,000円の威厳は保てるのか?

はじめに

このコンテンツの公開は2004.01ですが、作成は2002.09ですので内容は古くなっています。

一万円を切る「低価格デジカメ」登場

デジカメの登場から数年が経つ。

パソコンと同様、性能の向上が進む一方、
コンパクトさも追求され、使いやすさも格段に上昇、
その差は昔の機種と比較するのも嫌になるくらい大きい。

そんな高級志向が進む中、
1万円くらいで手に入る「低価格デジカメ」なるものが登場してきた。

液晶画面を搭載しない等、機能を限定してはいるものの、
非常にコンパクトで手軽に使えるという点が受けている。

しかし、所詮は「低価格デジカメ」。
使い物になるのだろうか?

「(昔の)高級機」VS「低価格デジカメ」

低価格デジカメの画像を載せて検証してもいいのだが、いまいち面白みがない。
そこで、手元にあるデジタルカメラとの間で、面白い比較をしようと思う。

手元にあるのは、1996年08月発売となったQV-100(63,000円)。
デジカメが現在のように気軽なものではなかった当時の「高級機」である。

このQV-100に対する低価格デジカメは、2000年11月発売となった
LV-10(オープンプライス/10,000円以下)。


QV-100(上)とLV-10(下)

両者の間には、液晶画面/回転レンズがないなどの差はあるが、
画素数等、それ以外のスペックは両者似たもの。

果たして4年前の「高級機」と現在の「低価格デジカメ」の勝負や如何に?

主なスペック比較

両者似たところが多い。

当時の高級機 QV-100

デジカメ普及の発端となったQV-10の後継機種。
1996年08月発売で価格は63,000円。

QV-10で好評の回転レンズを踏襲し、画素数を25万であったのを36万に上げたモデル。
CCDも1/5インチから1/4インチに上がり、画質の向上を図っている。


回転レンズが特徴(自分も撮れる)

撮ったその場で確認でき、現像いらずという気軽さが気に入って購入。

現像に出す必要がないというのは非常に便利で、
自分の中で「写真を撮る」という概念自体が変わったほどだ。

レポートやWEB作成にも活躍した。


この頃は接続ソフトとケーブルが別売だった

問題点

バッテリーの持ちが非常に悪い。
アルカリ電池では使い物にならないため、充電池を購入した。

撮影時の液晶画像がコマ送りとなる。

撮影後、次の撮影ができるようになるまで時間が掛かる。

画質は(当時でも)美しいとはいえないレベル。
付属のビデオケーブルでTVに映すと、結構綺麗に映るが、PC上で見ると荒い。
全体的に暗めで、しかもフラッシュがないので撮影には限度がある。

内蔵メモリを4MB搭載し、SVGAで60枚保存できるが、
メモリは増設できないので、埋まったらPCへ保存するしかない。

PCへの転送は別売のシリアルケーブルを使う。
当然現在主流のUSB接続のような速度はなく、転送には時間が掛かる。
転送中は電力が必要になるようで、通信中にバッテリーが切れることも多々あり。


ケーブルはシリアル接続なので速度は遅い

問題点がかなり多いようだが、当時としてはこれが当たり前だった。

低価格デジカメ LV-10

低価格デジカメのCASIO第一弾。
低価格とするため液晶画面を搭載しないなど、機能を限定している。

2000年11月発売。
価格はオープンだが、1万円以下。


機能がない分、本体は非常にコンパクト

高価なCCDではなく安価なCMOSイメージセンサを搭載、
総画素数は31万画素でQV-100と近く、
内蔵メモリが4MBという点も同様である。

低価格ではあるがフラッシュを搭載しており、暗所にも対応できる。

液晶画面がないためか、非常に起動が速く(約1秒)、
撮ってから次の撮影までの間隔も短い。
そのため、メモ撮影には向いている。

また、PCとの接続はUSBケーブルで行うので転送速度が速く、
接続に関するものは全て付属しており、
何ら買い足す必要がないというのも評価できる。

手にした感触はいかにも安物だが、デザインは結構秀逸。

問題点

液晶画面がないので正常に撮れているか確認できない。
ビデオ出力もないので、事実上PCがないと使えないということになる。

画像の削除が最終画像/全画像に限定され、画像管理ができない。

31万画素というのは低すぎる。
またQV-100同様内蔵メモリが4MBと少なく、増設できない。

65cm以下ではピントが合わない。
メモとして使うには不便な点である。

フラッシュの充電に10秒もかかる。


コンビニでの販売も考慮した簡単なパッケージ

おもちゃに近いか?

2メガピクセルモデル QV-2300UX

現在愛用しているモデル。
上位機種との比較として掲載する。

なおこの章はQV-100とLV-10の比較なので、この機種については多くは書かない。


QV-10/100の回転レンズを踏襲している

総画素数は211万。

1/2.7インチ正方画素原色CCDを搭載し、光学ズームが3倍、デジタルズームが2倍/4倍。
併用で最大12倍となる。


箱は他の2機種と比べると非常に大きい

起動が速ければいいのだが。

画像比較

以下の画像(QV-100/LV-10)は、特に撮影時の調整(露出値等)はしていない。
ソフト上での加工(ガンマ補正等)もしていない。

ともにSVGA(640×480)で撮影であるが、サムネイルは300×255とリサイズしている。
原寸は画像のクリックで見ることができる。

《 室内撮影(フラッシュなし) 》


QV-100(左)とLV-10(右)

割と明るい室内だったが、どちらも暗すぎる。
コーラの缶の左側が見えない。

QV-100は露出値の変更ができるので幾分補正できるだろうが、
LV-10はそれがないのでフラッシュを焚くしかない(しかし…後述)。

すこし暗い部屋の場合、QV-100の露出値変更で追いつかなければ、
フラッシュがないため厳しい。
LV-10では何も映らないことが多々あった。

ともに室内撮影には向かないといえよう。


QV-2300UXでの見本

QV-2300では、ホワイトバランスが変だが明るく撮れている。

《 室内撮影(フラッシュ有) 》


(左)QV-100はフラッシュを搭載していない

まず、QV-100はフラッシュを搭載していないため写真はない。

一方LV-10であるが、フラッシュを焚くと完全に白潰れとなってしまった。
室内撮影(フラッシュなし)で書いたが、室内撮影には非常に弱い。
そこでフラッシュを焚くわけだが、そうすると白く潰れてしまう。

LV-10フラッシュの到達範囲は1mが限度なので非常に狭いが、
多少寄ったからといって真っ白では使い物にならない。


QV-2300UXでの見本

QV-2300では、フラッシュを焚いても綺麗に撮れている。

《 屋外撮影(フラッシュなし) 》


QV-100(左)とLV-10(右)

室内撮影に比べると綺麗に撮れている。
それでもQV-100は暗く、しかも彩度がない。
そのため、木の幹の部分の描画が分かり難い。
明るい部分は白く潰れており、石の部分に不明な色の靄が発生している。

LV-10だが、QV-100よりは彩度があるため葉の色は綺麗だ。
明るいため、木の幹の部分の描画もよく出ている。
だが明るい部分は白く潰れており、QV-100同様、
JPEGの圧縮率が高いせいかノイズが多い。

両者とも室内はまともに撮れないので、屋外専用デジカメといえる。


QV-2300UXでの見本

QV-2300では若干暗いが、綺麗に撮れている。

まとめ

予想通り低レベルな戦いとなったが、使い勝手も総合すると、
個人的には「低価格デジカメ」であるLV-10に軍配を上げたい。

画質はQV-100と似たようななものとしても、
コンパクトで起動速度も速いため、手軽に使えるのは大きい。

LV-10には液晶がないなどの制限が多いが、QV-2300UXを持っているため、
高精細な画像が必要な時はそちらを使えばよく、
画質にはこだわらない用途(行動メモ等)には、ポケットに入り、
さっと出してさっと撮れるLV-10が有利。
そのような用途で大きい/重い/起動の遅いQV-2300UXは厳しい。

さて「低価格デジカメ」に軍配を上げたわけだが、
だからといって「低価格デジカメ=優秀」ではない。
はっきりいって、この画質では「おもちゃ」であり、1万円しないといっても高い。
2メガピクセルのモデルが2万円台で買えるので、そちらを買う方が賢明である。

液晶画面がなくてもいいので、最低100万画素くらいまで引き上げ画質を向上、
さらにマクロ撮影を可能にすれば、
低価格デジカメだけでもやりくりできるようになる。
それが認められれば、2台目として買う人も増えるだろう。

低価格デジカメも進化しなければ、それは「おもちゃ」のままでしかないのだ。

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